鍵のない図書館

好きな食べ物はバナナのパウンドケーキ

扉の向こうには、何人の僕がいるのか。

・君は誰か。

 君は「何者」か、はっきり言えるだろうか。そういう映画があったのを思い出すし、きっと似たような小説も、世に山という程出回っているんだろう。君は自分が誰なのか、何者なのか考えることはあるか。おおかた、こんなことは考えなくていい。しかし僕はたまに思案する、自分が誰なのかを。別に記憶喪失というわけではない、記憶ならしっかりとある。ただ「何者」なのか、それが分からない。

 

 文章を作る僕、調べ物をする私、働く僕、哲学的な私、Blogを書く僕.....何人の僕がいて、そしてどれにもなれない。果たして「僕」を定義するものなどあるのだろうか、あるとすれば、誰かが教えてくれるのだとしたら、それは嘘に聞こえる気がしないか。僕にとってはまやかしに過ぎない、正し煙草だけは裏切らない。もしも今、目の前に真実を写し出す鏡があるとしよう。僕はその鏡に問い掛ける、「僕は何者なのか」問い掛ける。

 

 そこに、なにかが写し出されなかった時、それが「真実」だとしたら、僕はそっとこの世から抜け落ちる気がしている。世の中からドロップアウトする、それが真実なら。僕は何者か、何人の僕がいるのか。誰も知らない、答えはない。どこかで聞いた入れ知恵だが、物事に「答え」や「意味」を付与するのは、人間だけらしい。僕は人間じゃないかも知れない。