それはまるで、飴色の角砂糖のよう、触れるととろりと溶けてしまう。
水が張られた田んぼの中を、静かに走る電車、車窓から朝日と同じ色が零れる。
三両編成で、如何にも秘境を走っていそう、秘密の街へと辿り着く。
夜の香りが立ち込める、すぅーっとする優しい煙草のよう、月明かりに照らされる。
車窓から零れた朝日は、雨が降るようにぽちゃっと落ちる、そこに蛍が集まる。
電車の音が遠くなる、後に残されたのは私と、祭りの後の静けさだけ。
あの電車の中で揺られていたのは誰、車窓からぼうっと世界を覗いていたのは誰。
今あなたが思い浮かべたその人が、飴色の電車に揺られている。
目的地もなく、ただ時の流れに身を委ねて。
こちら旅人、異常無し。