鍵のない図書館

好きな食べ物はバナナのパウンドケーキ

青木ヶ原樹海の木々のざわめきと、沈黙。

・僕の感覚

 夕陽に赤く染められた富士山、その麓に広がる広大な自然。人は自分の中にある、本質的なものを求めている。無言の木々、頬をかする風、持ち主のいないゴミ。樹海には「魔物」が潜んでいると、感じたことはないか。

沈黙が支配する、あまりにも美しすぎる森。その奥に潜んでいる「なにか」、時折そのなにかの息を感じる。車道を走る車の走行音が、彼を引き戻す。あの奥、木々の間から覗く魔物の眼。あそこには、なにかが確実に、そして絶対的な力を持って存在する。

それは誰かにとって、救いかも知れなければ、答えなのかも知れない。自然を取り込み過ぎて、人間的な許容量をオーバーすると、人は魔物になるのではないか。それが或いは「鬼」、或いは「天狗」、或いは「妖怪」へと変貌する。こういった人外の類いは、原点はみな人間だったのではないか。人間には様々な可能性があるのだと知る、魔物は夕暮れに現れる。

 

富士が赤く染まった時、樹海は「魔物」になる。