塞き止める、僕は今、水の中にいる。
ちっとも苦しくはない、そこで水が外へ溢れ出すのを防いでいる。
ここは教室、いわゆる高校生、先生...先生...先生。
沈んだ教室に小魚の群れが来る、地震のように揺れる。
そこに大きなシャチが来る、あるすべてを平らげに来たようだ。
僕たちはまだ何者でもない、優秀、平均、劣等、なにかを待っている十代。
それは大人になろうと変わることのない、つまらなそうにガムを噛む。
シャチの餌になる、そこで生まれ変わる。
ぷくっと空気を零しながら沈む少女、瞳は外を見る。
そうして少女はシャチの胃袋へ落ちて行く、先生は黒板に板書する。
何者でもない僕は潜水士になる、Diverになる。
少女を食べたシャチを求めて。
○
私は先生だけれども、黒板は常に沈黙を守る。
時としてそれは、教鞭を垂れることよりも世界を語る。
私は道徳を教える仏ではなくて、空を飛ぶ者、まるで紙飛行機。
その教室は水中の中に沈んでいた、そこで世界を学ぶ二人。
そこに半透明の爆撃機が飛んでくる、ひゅぅと落とされたのは黄金の卵。
すべての出来事はここから始まる、少年と少女は卵を見付けてしまう。
淡い光を発する卵を見付けた時、二人は十代を卒業する。