鍵のない図書館

好きな食べ物はバナナのパウンドケーキ

20th Century Boy

夕暮れを顔に滲ませながら、疲れた顔で帰る人々。

少しホッとしただろう、一日が何事もなく過ぎて。

夜ご飯はなににしようか、インスタントでもいい。

 

急ぎ足で歩く人、肩を落としながら歩く人、怒りながら歩く人。

僕らはよくやっているはずだ、我慢は続かないだろう。

ハーモニカの音が聴こえたら、もう帰ろう。

 

ひんやりとした風が、汗を溶かして行く。

今日はコンビニに寄って、たまには買いたい物を買うといい。

するとどうだ、僕らと似たり寄ったりが、同じ土俵に立っているだろう。

 

喫煙所で肩をすぼめて吸う紙煙草、弱い煙が夕暮れと繋がる。

空に駆け上がる梯子、鏡のように映し出すのはよれたスーツ。

なんとなく、こうじゃないという気持ちが心に染みる。

 

自転車を漕ぎながら、焼き魚の香りがする方へ帰る子供。

赤と黄を、絵の具パレットの中でかき混ぜたような空。

その空の中に、僕らはいる。

 

待ち合わせの時刻に遅れてきた恋人を見て、ホッとするような。

寒い冬の夜、温かい缶珈琲を自販機で握り締めるような。

僕らの心がどこか遠くへ泳いで行く。

 

そして今日も家路に付く、明日が来ることを感じながら。

 

足跡にため息を残しながら

 

僕らは一日をやりすごす。