夕暮れを顔に滲ませながら、疲れた顔で帰る人々。
少しホッとしただろう、一日が何事もなく過ぎて。
夜ご飯はなににしようか、インスタントでもいい。
急ぎ足で歩く人、肩を落としながら歩く人、怒りながら歩く人。
僕らはよくやっているはずだ、我慢は続かないだろう。
ハーモニカの音が聴こえたら、もう帰ろう。
ひんやりとした風が、汗を溶かして行く。
今日はコンビニに寄って、たまには買いたい物を買うといい。
するとどうだ、僕らと似たり寄ったりが、同じ土俵に立っているだろう。
喫煙所で肩をすぼめて吸う紙煙草、弱い煙が夕暮れと繋がる。
空に駆け上がる梯子、鏡のように映し出すのはよれたスーツ。
なんとなく、こうじゃないという気持ちが心に染みる。
自転車を漕ぎながら、焼き魚の香りがする方へ帰る子供。
赤と黄を、絵の具パレットの中でかき混ぜたような空。
その空の中に、僕らはいる。
待ち合わせの時刻に遅れてきた恋人を見て、ホッとするような。
寒い冬の夜、温かい缶珈琲を自販機で握り締めるような。
僕らの心がどこか遠くへ泳いで行く。
そして今日も家路に付く、明日が来ることを感じながら。
足跡にため息を残しながら
僕らは一日をやりすごす。